「自分の探索者にイメージ曲を歌わせたい!」
そう思って調べてみると、UTAU、UST、原音設定、resampler……と、知らない言葉がたくさん出てきて戸惑う方もいるのではないでしょうか。
私もほぼ知識がないところから、自分のTRPG探索者を歌わせるためにOpenUTAUを使い始めました。
実際に触ってみると、とりあえず好きな曲を歌わせるだけなら、最初から音源制作や細かな調声まで覚える必要はありません。
この記事では、
- OpenUTAUとは何か
- 探索者を歌わせるために何が必要か
- 実際に歌わせるまでの大まかな流れ
- 自分の声から探索者用の音源を作る方法
- キャラクターらしい声に近づける方法
などを、音声合成初心者向けにまとめます。
細かな操作方法については長くなるため、別の記事で詳しく紹介していきます。
OpenUTAUとは?
OpenUTAUは、UTAUコミュニティ向けに開発されている無料・オープンソースの歌声合成エディターです。公式ではWindows・macOS・Linux向けの配布が行われています。(GitHub)
簡単にいうと、
音符と歌詞のデータをもとに、用意した声で曲を歌わせるためのソフト
です。
ピアノロール上に並んだ音符を編集しながら、
- どの声で歌うか
- どんな歌詞を歌うか
- 声をどのくらい太くするか
- 発音をどうするか
- ピッチをどう動かすか
などを調整できます。
名前に「UTAU」とありますが、「UTAU」と「OpenUTAU」という二種類のソフトがあり、どちらでも近いことができます。今回の記事では昔のUTAUではなく、新しいソフトであるOpenUTAUを使って探索者を歌わせていきます。
OpenUTAUで何ができる?
普通に「好きな音源に好きな曲を歌わせる」のももちろん楽しいのですが、TRPGや創作をしている人なら、
自分の探索者(もしくはオリジナルキャラクター)が歌っているようにする
という遊び方もできます。
たとえば、
- 探索者のイメージ曲を歌わせる
- キャラクターの雰囲気に近い配布音源を探す
- 声を低くしたり太くしたりして男性探索者に近づける
- 中性的、爽やか、可愛らしい、低く落ち着いた声など、キャラクターに合わせて調整する
- 自分の声を録音して、探索者専用の音源を作る
といったことができます。
私は女性の声をもとに作った音源から、男性探索者らしい歌声に近づける調整も試しています。
もちろん、元の声質によってできることには差があります。
「この設定にすればどんな声でも男性になる」というものではありませんが、同じ音源でも設定を変えるだけでかなり印象が変わるので、キャラクターに合わせて試行錯誤するのも面白いところです。
探索者を歌わせるために必要なもの
まず曲を歌わせるだけなら、主に次のものを用意します。
1.OpenUTAU
実際に歌わせるためのソフトです。
OpenUTAU本体は公式GitHubから無料で配布されています。(GitHub)
2.UTAU音源
実際に歌う「声」のデータです。
最初から自分で録音して作る必要はありません。
配布されているUTAU音源を使えば、自分の音源を持っていなくてもOpenUTAUを試すことができます。
まず操作に慣れてから、自分の声を録音して探索者専用の音源を作るのもおすすめです。
3.UST
USTは、UTAU系ソフトで使われる曲のデータです。
初心者向けにかなりざっくり説明すると、
「このタイミングで、この高さの音を、この歌詞で歌う」という情報が入った楽譜のようなもの
と考えると分かりやすいです。
好きな曲のUSTが配布されていれば、それを読み込むことで、一音ずつ自分で曲を打ち込まずに歌わせることができます。
USTには配布者ごとに利用規約があるため、使用前に必ず確認しましょう。
4.オフボーカル音源
USTを読み込んだだけでは、基本的には歌声だけです。
曲として聴きたい場合は、そこにオフボーカル・インスト音源を合わせます。
こちらも、公式配布されているものなど、利用条件を確認したうえで使いましょう。
探索者を歌わせるまでの大まかな流れ
細かな操作を除くと、やることはだいたい次のようになります。
1.OpenUTAUを用意する
まずOpenUTAUをインストールします。
↓
2.歌わせる音源を用意する
配布されているUTAU音源を使うか、自作した音源をOpenUTAUに登録します。
↓
3.歌わせたい曲のUSTを用意する
使用したい曲のUSTを探し、利用規約を確認して入手します。
↓
4.USTをOpenUTAUで読み込む
USTを開くと、曲の音符や歌詞がピアノロール上に表示されます。
↓
5.Singerを設定する
次に、「このトラックを誰の声で歌わせるか」を設定します。
OpenUTAU上では、歌わせる音源がSingerとして表示されます。
私も最初、USTを読み込んだのに音が出ず困ったことがありましたが、原因はこのSingerを設定していなかったことでした。
↓
6.必要に応じて発音の設定を合わせる
UTAU音源には、単独音・連続音などいくつかの録音方式があります。
またOpenUTAUには、日本語VCVなどさまざまな方式に対応するPhonemizerがあります。公式の実装にも「JA VCV」などの区分があります。(GitHub)
USTと音源の組み合わせによっては、そのままではうまく発音されず、設定を変更する必要があります。
ここは初心者が詰まりやすいところなので、別の記事で実際の画面を見ながら詳しく説明します。
↓
7.再生してみる
ここまでできれば、まず歌声を再生してみます。
最初から理想の声でなくても大丈夫です。
まず「ちゃんと曲として歌った」というところまで行けば第一段階クリアです。
↓
8.オフボーカルを追加する
次に伴奏をOpenUTAUへ読み込みます。
歌声と伴奏が同時に鳴れば、一気に完成形に近づきます。
↓
9.歌い出しの位置を合わせる
USTとオフボーカルの開始位置が最初から一致するとは限りません。
私の場合も、読み込んでそのままでは歌と伴奏がずれていたため、位置を動かして調整しました。
↓
10.探索者らしい声に調整する
最後に、
- 声の太さ
- 声の高さ
- 発音
- 声の立ち上がり方
- ピッチ
- ビブラート
などを調整していきます。
最初から一音ずつ細かく調声しなくても、まず曲全体の声質をキャラクターに近づけるだけでもかなり印象が変わります。
初心者の私が実際につまずいたところ
OpenUTAUを触っていて、「初心者だとここで止まりやすそうだな」と感じたところもいくつかありました。
USTを読み込んだのに音が出ない
私の場合は、Singerを指定していないのが原因でした。
USTそのものが壊れているとは限らないので、まず「どの音源で歌う設定になっているか」を確認してみるとよいです。
一部の音だけ鳴らない
USTを読み込めても、一部分しか声が出ないことがありました。
私の場合は、音源に合わせて発音方式の設定を変更することで鳴るようになりました。
このあたりは、
「USTを開けば必ずそのまま歌う」
と思っていると少し分かりづらいところです。
オフボーカルと歌声がずれる
伴奏を追加してみると、歌い出しがワンテンポずれていました。
UST側の位置を調整することで合わせられました。
歌ったけれど探索者っぽくない
声が鳴るようになっても、
「確かに歌っているけれど、このキャラクターの声には聞こえない」
という問題が出てきます。
ここからが、探索者を歌わせる遊びの面白いところでもあります。
声の太さや発音、使うresamplerなどを変えながら、キャラクターのイメージに近づけていきます。
最初から自分のUTAU音源を作らなくても大丈夫
「自分の探索者を歌わせるなら、自分で声を録音しないといけないのでは?」
と思うかもしれません。
ですが、まずOpenUTAUを試すだけなら、配布されているUTAU音源を使う方法があります。
そのため、
OpenUTAUを触る → USTで曲を歌わせる → 調声を試す
というところまでやってから、自作音源に進んでも大丈夫です。
私はその後、
- OREMOで声を録音する
- SetParamで原音設定をする
- OpenUTAUで自作音源を読み込む
という流れで、自分の声を使った音源作りにも挑戦しました。
自分で録音した声なら、そこからさらに探索者らしい声へ調整していくこともできます。
この音源作りについても、別の記事で初心者向けにまとめる予定です。
キャラクターらしい声はどう作る?
探索者を歌わせるなら、
「声が出れば終わり」
ではなく、
できれば本人らしい声にしたい
という方も多いと思います。
OpenUTAUでは、音源そのものだけでなく、歌わせるときの設定によっても印象を変えられます。
私が実際に試しているのは、
- 声を太くする
- 男性的な印象に近づける
- 中性的にする
- 発音をはっきりさせる
- 高音の苦しそうな感じを減らす
- 声の立ち上がりを弱くする
- resamplerを変更する
といった調整です。
たとえば同じ女性録音の音源でも、
「若く可愛らしい女性」
「爽やかで元気な男性」
「中性的で頭脳派の男性」
「低く男らしい声の男性」
など、探索者ごとに違う方向へ寄せて試しています。
ただし、適切な設定は元の音源によって変わります。
そのため今後の記事でも、
「この数値が正解」とするのではなく、実際に私の音源でどう変わったか
を中心に紹介していく予定です。
まずは「一曲歌わせる」を目標にしてみよう
OpenUTAUについて調べ始めると、
- UST
- Singer
- Phonemizer
- resampler
- renderer
- Flags
- 原音設定
- MIX
など、たくさんの知らない言葉が出てきます。
ですが、最初から全部覚える必要はありません。
まずは、
OpenUTAUを用意する ↓ 音源を入れる ↓ USTを読み込む ↓ Singerを設定する ↓ 再生する
というところまで進めてみるのがおすすめです。
一度探索者が実際に歌い始めると、「もう少し声を低くしたい」「このキャラクターならもっと淡々と歌ってほしい」など、次にやりたいことも見えてきます。
そこから少しずつ調声を覚えていけば十分です。
次の記事では、OpenUTAUにUSTを読み込んで、実際に声が出るところまでの操作方法を、私がつまずいたポイントも含めて詳しく紹介します。
また、探索者らしい声に寄せたい方向けに、女性録音の音源から男性探索者らしい声へ調整した方法も別の記事でまとめる予定です。
